前回、令和7年税制大綱が「選択制DCの否定につながる」と書いたが、これは「マッチングルールの変更」と「iDeCo62,000円への拡大」によりもたらされるであろう潮流と考える。
現在、選択制DCが支持されるファクターは主に3つ。
①事業主掛金以上に加入者が拠出できる②iDeCo23,000円にくらべ55,000円まで拠出できる③加入者が拠出判断する掛金により社保料低減につながる
…主にこの3点だ。
ところがマッチングルールの改定により上記①は選択制DCの採用理由とならなくなるだろう。さらに希望者が1名・2名で加入する選択制の場合、加入者が役員のみであることが多いわけだが、これもiDeCoが企業型を同額となったことで選択制DCの採用理由とならなくなると考える。特に高額所得の役員の場合、社保料効果も見込めないため「だったらランニングコストが比べ物にならないくらい安いiDeCoが断然いい」となるはず。しかも「定期同額給与の原則」に気を遣うことも不要だ。
そうなると、残る選択制DCの採用理由は③社保料の低減となるわけだが…。最近のDC採用理由は「福利厚生の充実」「募集要項のアップデート」「資産運用のサポート」。社保料低減は決して優先順位は高くないと感じている。その流れで行くと、DC法ともいくつかの点でミスマッチとなり留意点が多い選択制DCより、DC法に対して何のストレスもないマッチングがむしろ運営しやすい、ということになりそう。結果として企業担当者が気を遣う点も激減することになる。
どうだろうか?
選択制DCが主流である状況が一気に様変わりするとは思わない。ただ、上記観点にiDeCoプラス等も勘案すると、プラン選択の方向感は数年後には変わっているだろう。個人的はそうあるべきだとも考える。
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